2009年12月18日金曜日

漁労の籠 タイ



タイ東北部、ブリラム県に住むパンさんのつくった筌(うけ。魚を捕るための仕掛け)です。細い方はうなぎとりの筌です。
パンさんは、私の夫と同い年、とても器用な人でした。池を掘って、水を確保して、その周りに果樹、ハーブ、野菜などをうまく配置して植えるという、雨季と乾季のはっきり別れている地域での、お手本のような農業をやっている人でした。
パンさんの農場に、何度、日本人、フィリピン人、マレーシア人、グァテマラ人、エチオピア人、インド人などのグループを見学に連れて行ったことでしょうか。そのたびに、生態系の仕組みをよく考えた農場に、みんなが感心したものでした。

パンさんは百姓ですが、家には歯の治療用の椅子が置いてあって、珍しいことに村の歯医者さんでもありました。また、占い師兼伝統医療師でもありました。
私は、占いにはあまり関心がないのですが、そのときは落ち込んでいたからでしょうか、パンさんに占ってもらったことがありました
「残念ながら、どうしても五十代前半はあまりよくないなあ。まだ数年、もっと落ち込むよ」、パンさんは、分厚い占いの本を見せながら、申し訳なさそうに、説明してくれました。
タイでは、生年月日と、生まれた時間とで占います。パンさんの占いどおり、私の五十代前半は、どうあがいてもあまりよくはありませんでした。
そして、私の運が上向いてきたころ、パンさんが亡くなったという知らせを受けました。




この筌、器用なパンさんらしく、ひごも美しく、細部までとても丁寧にできています。籠屋の店先にぶらさがっているのは、形は似ていて、雑なのが多いのですが。
うなぎ籠は、古くなって、捨ててあったのをもらいました。




これは、魚篭(びく。捕った魚を入れる)だか、筌だかわかりませんが、タイの伝統的な魚籠です。たぶん魚篭でしょう。
タイの地方の町には、たいてい、店先に盛大に籠をぶらさげた籠屋があります。そんな籠屋で買ったものですが、博物館で見るような、珍しいものを見つけられるのはまれです。




これは、どう見ても魚篭です。タイ北部の籠屋で買いましたが、小さくてかわいいものです。
木の持ち手のついた魚籠もこの魚篭も、ぴっちりはまっている、魚が一方方向にしか行けない蓋が、取りはずしできるようになっています。




ちょっと雑なつくりですが、二本の串がついていて、水中に固定できるようになっている筌です。
メコン川にも、チャオプラヤー川にも、それぞれの支流にも、たくさんの川魚がいるので、魚によって筌もまた違うのですが、これなどんな魚を捕る筌なのでしょうか。




雑なつくりといっても、「おまえつくれ」、と言われてもつくれない、なかなか手の込んだ細工ではあります。




魚が入るところの反対側はこのとおり、鶏の配合飼料の空き袋を利用しています。

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