2010年10月16日土曜日

籠バッグ



手ごわかった夏が去り、秋たけなわとなりました。
今は、一年中同じような格好をして、同じようなものを使っているので、ほとんど衣替えもしませんが、昔は、夏には涼しげな籠バッグなど持っていました。

私の最初の籠バッグは、伊豆の下田のつり道具屋で買った、丸くて小さな魚篭でした。蓋が小さなお湯飲みほどの大きさ、その中に電車の切符を入れたりして、どこにでも持っていったものでした。




これはフィリピン製のバッグです。日本の竹細工屋さんで買いました。以前は、夏が近づくと、カバン屋にも、竹細工屋にも、店頭にずらっと涼しげなバッグが並びました。

このバッグ、たくさん歩く日には使わないようにして、中身もごくごく軽いものだけ入れました。それでも、ラタンの細くて丸い紐が肩に食い込みます。一日肩に掛けていると、もう肩はぱんぱんになりました。

バッグの紐は、幅広に限ります。と、文句を言っている割には、よく使いました。




ラタンの、背負子型バッグです。ルソン島北部のイフガオの人たちが使っていたものです。
まだ、北ルソンの籠がマニラでも珍しいころに買いましたが、今は、日本の骨董市で、必ず見かけるほど、ありふれた籠になってしまいました。いったい、どのくらいの北ルソンの籠が日本に来ているのでしょう。




肩紐が蓋を押さえるので、背負っているときは心配ありませんが、肩から降ろすと、蓋がはずれ易くなります。立てておくと問題ないのですが、うっかり横にすると、中身をぶちまけたりします。




北ルソンの家庭には、机の高さに置いた箱型のかまどがあり、火を絶やさないようにしています。
籠類は虫がつかないよう、かまどの上に置いたり、近くにつるしておくので、いぶされてこんな色になります。




宮沢賢治の、『猫の事務所』に、かまどの中で寝るかま猫というのが出てきました。
北ルソンの猫たちはみんなかまどの灰にもぐって寝るので、どこの家の猫も、元が何色の猫だったのか、さっぱりわからない色に染まっています。




これもフィリピン製、マニラで買ったものです。上の二つの籠はラタンでできていますが、このバッグは竹製です。フィリピンのどこか、北ルソンではない地方でつくられた籠です。




籠自体は軽く、中に入れるものがきれいに整理できますから、一、二泊の出張にはよく持って行きました。




持ち手は木、留め具は皮でできていて、イノシシの牙を差し込むようにして留めます。
日常的に、イノシシを獲っている、山がちの地方でつくられたものでしょう。



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