2010年12月31日金曜日

招き虎






寅年の最後は、招き虎で締めましょう。




この子はまだ赤ちゃんで、打ち出の小槌ではなくて、がらがらを持っているようでもありますが、れっきとした虎の子です。
というのは、額の模様が「王」の字形(ちょっと違うけど)になっているからです。虎猫も、雉猫も、猫なら額の模様は「M」の字形です。




これは?
黄色い猫さんにも見えますが、虎ということにしておきましょう。




私の愛してやまない、轆轤引きの虎です。
うぅ~ん、可愛い!
でも、挙げた手の形が、変です。




そして、招き虎ならぬ、招きトラ。
我が家のトラちゃんです。
犬は、口の両端をちょっと膨らませて、歯を見せて笑いますが、猫はいつも真面目です。





2010年12月30日木曜日

民の焚き火は盛んなりけり






今日は晦日。

今日は焚き火の日?
八郷盆地に、煙がたなびいています。




散歩に出ると、道端の草やミントが、まだ霜を被っていました。




散歩道から見た筑波山。
空は曇って、煙はいよいよ盛大になっています。
今年のゴミを、全部燃やしているのでしょう。




そばを通ると、わざわざ近くまで、ご挨拶に来てくれた牛さんたちの後ろにも、煙が...。




家に帰ってみると、煙の層は、出かける前よりずっと厚くなっていました。




そして、お昼前。
空はいよいよ曇り、煙の層はいよいよ厚くなってきました。



2010年12月29日水曜日

うさぎ年、ようこそ






あちこちからかき集めて、土間の飾り棚に、来年の干支のうさぎを飾りました。
木彫り、土人形、張子などです。
縁日の射的の的だった、招きうさぎもいます。

それにしても、タイのココヤシ削りは、どうして、「クラターイ(うさぎ)」というのでしょう?
もっとも、日本では一輪車を、「ねこ」といいますし、西洋では、脚立や鋸引き台を、「うま」といいます。

私は、日常的に「ねこ」や「うま」を使う生活をしていますが、残念ながら「うさぎ」を使ってココナツを削る日々は遠く、代わりに缶詰のココナツミルクを使っています。




ガーナのクマシの市場で見つけた、山羊の皮を固めてつくってあるうさぎです。
もしかしたらうさぎではなくて、山羊のつもりかもしれません。




山形県米沢の笹野一刀彫の、餅搗きうさぎです。

学生時代に、制作者の家を訪れたとき、この形のおもちゃは、つくられていませんでした。どこかに残っているかしらと、米沢の町を歩いていて、古ぼけたお店で、埃をかぶっていたのを見つけたものです。




月乗りうさぎは、滋賀県の小幡土人形です。やはり学生時代に手に入れたものです。
とっても色鮮やかな小幡人形は、種類がたくさんありました。お訪ねした時に、制作者の細居さんの土間には土人形が溢れていて、どれをいただこうか、あれこれ迷ったものでした。

あれから40余年。うさぎは、まだ腕組みして、月に座っています。




金沢張子の雪うさぎは、キュートです。




木彫りのうさぎはタイのものです。
どれも、二つに割ることができる、箱になっています。



ナツメグ



2010年12月28日火曜日

もち花





クリスマス飾りを、しまうと同時に、同じところから、お正月飾りのもち花を出しました。
この、せんべい(米粉)のもち花は、新潟で、今でもつくる方がいらっしゃいます。




もち花を飾る枝は、コナラです。ミズキを使った年もありました。

コナラやミズキは、いろいろな地域で、実際にもち花飾りに使われてきた木ですが、私が一番好きなのは、しだれヤナギです。
しかし、しだれヤナギは、公共の場に植えられていることが多いので、勝手に枝をいただいて来るわけにいきません。年中、どこにしだれヤナギがあるのか、チェックしているのですが、いまだに手に入れることができません。

木を生ける竹は、たけさんの竹薮からいただきました。
さらに、米粉を蒸して、紅白のもち花をつくって丸め、枝にくっつけるといいのですが、それは、今年も省略です。




あっというまに、クリスマス気分が消えていきます。




入り口には注連縄も張り、お正月気分は、静かに盛り上がっていきます。




2010年12月27日月曜日

冬晴れ





昨夜は珍しく、一晩中強い風が吹き渡っていましたが、穏やかに明けました。
冬晴れの日々が続いています。




このあたりでは、生垣のことを、生きた垣根という意味で、「いきぐね」と言います。
生垣の樹種のおおかたは、一年中きれいな緑で、病虫害もない、モチの木が使われています。




散歩道の途中の牛たち。
年寄り牛は、奥の方にいますが、若い牛は、好奇心がいっぱい。散歩している私たちに興味津々で、近づいてきます。




牛屋さんの家をぐるっと回って、裏道に出ると、おや、黒っぽい牛たちもいました。
じっとこちらを見つめています。




散歩から帰ると、猫のトラが、玄関先でごろんと寝ています。
ついて来ると、落ち着かなくて、「にゃぁにゃぁ」とうるさいくせに、家を留守にしたことに、ちょっとだけ抗議しているところです。



2010年12月26日日曜日

錘(つむ)と、糸車


夫婦で織物を織っている知人がいます。
山羊の毛の、厚手の敷物で、畳一畳より小さいくらいの敷物で、10万円ほどします。
高くて、もちろん買うつもりになったこともありませんが、つくり手の立場になってみると、高いのも納得できないわけではありません。

山羊の毛はギリシャから送ってもらっていますが、近年、山羊の毛自体が少なくなり、値段も上がっているそうです。
山羊の毛を集めるおじいさんが、糸を紡いでもくれていて、その糸を使って、敷物を織っていたのですが、最近、おじいさんが亡くなってしまいました。その息子は山羊の毛を送ってはくれますが、糸が紡げません。多少は紡ぐのですが、完成度の低い糸しか紡げません。
しかたなく、原毛を自分で紡ぐとなると、さらに手間がかかって、それだけ敷物の売値を高くしなくてはなりません。でも、これ以上高くして、いったい敷物が売れるのかどうか、と、彼らは悩んでいました。

そう、手仕事は、愛や、探究心に基いてなら、面倒さも厭わないでとことん手をかけられますが、できたものを売って収入を得ようとしたら、つくり手は、「これくらい元手をかけて、これくらい努力したのだから、これくらいの値段にしなくては、納得できない」、ということになってしまいます。
そして消費者は、高いものを買わなくても生活ができるし、安い工場生産品も、手間賃が安い地域でできた手仕事品も、見つけることができます。
リーマンショック以来、手づくりのものを売って生計を立てている人は、なかなか大変だと聞きます。

糸紡ぎは、古くは女性の仕事でした。
私の好きな児童書には、いつも糸紡ぎをしている女性が、たくさん登場します。『ともしびをかかげて』(サトクリフ著、岩波書店)のネスや、『帰還』(ゲド戦記、ル・グウィン著、岩波書店)のテナーなど、魅力的な女性が、一時も手を休めず、糸を紡いでいます。




写真(『From the Hands of Thai Hills』から)は、タイの山岳民族の、アカの女性が、糸を紡いでいるところです。錘(つむ)は、持ち運びに便利で、どこででも糸が紡げます。

山岳民族の人々は、1980年くらいまで、日常的に民族衣装を身に着けていましたが、だんだん少なくなり、1990年には、ほぼ消えてしまいました。
いまは、観光用に、少数の人が民族衣装を身につけるだけです。

民族衣装を着なければ、綿を栽培する必要も、糸を紡ぐ必要も、布を織る必要も、刺繍する必要もなくなってしまいました。




その、山岳民族の錘です。
円盤形に彫った木に竹を突き刺したものです。彼らは綿から木綿糸を紡ぎます。

綿にしろ、山羊や羊の毛にしろ、一本一本は短いものですが、じょうずに繰り出しながら、錘を独楽のように回すと、撚りがかかって、長い糸になります。




一度撚りをかけただけでも、柔らかい糸ができますが、撚りをかけた糸と糸を、さらに撚り合わせると、より強い、より硬い糸ができます。




錘(つむ)ほど、どこでも糸を紡げるというわけにはいきませんが、糸繰り車があれば、もっと簡単に糸が紡げます。
同じく、山岳民族のラワの女性が、糸車を回して、糸を紡いでいるところです。(写真は、『From the Hands of Thai Hills』から)




かく言う私も、以前織物をしていたので、糸車を持っています。ノルウェー製の、松の糸車です。
羊の毛で糸を紡いで、織ったこともありますが、今は全然使っていません。

場所をとるので、高いところに乗せています。
紡ぐ時間をつくり出そうと思えば、つくり出せないことはないとも思いますが、気持ちを切り替えながら、いろいろなことをするのは、難しいものです。

2010年12月25日土曜日

バリ島のお土産





1980年ごろの、インドネシアのバリ島のお土産の、定番の一つはこれではなかったかと思います。
バンコクに住んでいるころ、夫の同僚宅などで、ときどき見かけたものでした。

夫の出張について、初めてインドネシアのジャワ島を訪れたとき、休暇をとってバリ島まで足を延ばして、一泊か二泊しました。
私は、喜び勇んで、この定番のお土産を手に入れました。




軽い木を削って、丁寧に彩色してあります。
葉っぱは、薄くて壊れやすいものですが、お土産品ですから、分解して、重ねて、簡単に運べるようにつくられています。




組み立てていきます。
わき芽の先と葉がつきました。




そして、実を生らして、大きな葉もつけて、バナナの完成です。

完成品はけっこう場所をとりますし、ちょっとぶつかると、葉が落ちたりするので、12年ほど前にバリ島に行ったときには、あまり見かけませんでした。見かけても、ずいぶん小ぶりなものになっていたような気もします。

バリ島を訪れる観光客の多くが日本人になった今は、お土産の定番も変わりました。
目立つのは、木彫りの猫です。それにしても、日本人は、私も含めてですが、猫の置物が好きです。




当時は、カエルもいっぱい見かけました。
これは、雨乞いをしているカエルですが、楽隊などもありました。
なんとも素敵な面構えのカエルです。

バナナの花



2010年12月24日金曜日

サントン人形




メリークリスマス!
フランスのマルセーユ(プロヴァンス地方)でつくられる土人形のサントンをご紹介するのは、クリスマスイヴの今日が最適かと思われます。

サントンに出会ったのは、岩波の絵本、『マリーちゃんのくりすます』でした。
挿絵が、土人形になっていました。そして、たぶん巻末か欄外に、サントンの紹介もあったかもしれません。

当時は、日本はまだまだ閉じられた国で、外国のものを目にする機会と言えば、各デパートで、ときおり催おされる、「○○国物産展」くらいなものでした。
そんなおり、妹から、デパートの「フランス物産展で、土の人形を見た」、という電話をもらいました。35年ほど前のことです。

早速見に行きました。サントンに間違いありません。二セットありましたが、とても高くて買えず、一セット買って妹と半分に分けました。
風俗人形、キリストの降誕人形、そして建物のセットですが、降誕人形は分けられないので一つにまとめ、風俗人形しかない方には、動物をたくさん入れるなど、二人で納得して二つに分け、くじ引きでどちらを取るか決めました。




私は、降誕人形の混じった方をもらいました。
マリアさま、飼い葉桶のキリスト、そして東方の三博士がいます。でも、当時は知識が足りなくて、ヨゼフは妹の方へ行ってしまったようです。




子供たちが小さい頃、サントンをよく絵のモデルにしたので、どれもクレヨンで汚れています。
そして、地震や引越しなどで割れて、修理したものもあります。

そんなおり、夫が仕事でマルセーユに行くことになりました。高かったとはいえ、セットを妹と分けたのを、残念に思っていた私は、夫にサントンを買ってきてくれるよう頼みました。そしたら、また妹と分けて、一セットずつ持てることになります!

サントンは、大きいものは等身大にもなるそうですが、大きくなればなるほど、リアルなつくりになるので、くれぐれも一番小さいものを買ってくれるよう、念を押しました。




夫の帰りより、サントンを楽しみに待って、開いたお土産の包みから出てきたのは、残念ながら、持っているものよりずっと大きいサントンでした。
セットの人物は高さが3センチほどですが、買ってきてくれたのは、8センチほどありました。さがしても、それが一番小さかったそうです。
その分、リアルなつくりです。




以前、デパートで見たことのある、もっと大きいサントンよりはずっと素朴で、気に入りましたが、極小のサントンほど可愛くなくて、ちょっとがっかりもしました。

今度は、ヨゼフがいました。
しかし、飼い葉桶のキリストだけ、何故かプラスティックでできていましたので、それは惜しげもなく捨ててしまいました。




そして、このサントンはどうしたのか。
ちょっと漫画チックなところが現代的ですが、夫がどこからか買って来てくれたのか、自分で買ったのか、まったく覚えていません。マルセーユのものというより、スペイン的でもあります。
「私が買うかしら?」とも思いますが、サントンだから、とりあえず買ったかもしれないし。
でも、確かなのは、日本がもう鎖国状態ではなくなった時代に、手に入れたものだということです。

ちなみに、小さいサントンのセットは、35年前に、二万五千円でした。

今では、夫の買ってきてくれたサントンも、最初対面したときより、大切に思っています。
本当の小枝でできた薪の束を担いでいたり、なによりみんな楽しそうに働いているからです。




2010年12月23日木曜日

織物用の刷毛


布は、織り機にぴんと張った経糸(たていと)に、緯糸(よこいと)をくぐらせて織ります。
緯糸をしっかり打ち込むための道具は、筬(おさ)といいます。
筬は、薄く削った竹などを並べてつくります。薄くて幅の広い布を織るのであれば、筬の目の数は、数百にもなります。
経糸は全部、筬の別な目を通らせておき、緯糸を一本通す度に筬を弾みをつけて打ちつけて、布をパンパンと締めます。

というわけで、筬が行ったり来たり、何百回も何千回もするので、経糸は擦れて、弱くなってしまいます。そのため、布を織るときに、経糸に糊などを塗って、コーティングすることがあります。少しでも、摩擦から経糸を護ろうとするのです。




ラオスの、織物をやっているところで撮った写真です。
たぶんタイ製の刷毛。三つも重ねて幅を出しているので、掃除用の刷毛を分解して自分でつくったものでしょうか?あるいは、ラオスにもタイにも、織物に携わる人たちは多いので、織物用につくられた刷毛なのか、そのあたりは不明です。
この手の刷毛は、あまりにもありふれた刷毛だったので、取っ手がついたものをお掃除用に使っていましたが、使わないものを、コレクション用に取って置くのを忘れていました。

そして、上の方にちらっと見えるのが、




この刷毛です。
どちらも、繊維はヤシの繊維でしょう。




カンボジアの、織物用の刷毛です。
さすが木工に秀でたカンボジア、こんなものまで美しく装飾された漆塗りの取っ手がついています。




ソウルの仁寺洞(いんさどん)で出遭ったのが、この刷毛です。
箒草をラタンで巻いてつくってあります。幾つかあった中で、布で補修したのと、完全なのとどちらも捨てがたく、両方手に入れて、にこにこでした。
いまはどうでしょうか。10年以上前のインサドンの骨董市は、何もかもずいぶん安かったのですが。




刷毛先は、まあるく刈り込んであり、持ち心地も満点です。




ただ、一ヶ所とか二ヶ所だけの箒草の減り方が激しいので、寝かせて使っていたのでしょうか。糸くずがついているところも、気に入っているところです。