2011年4月1日金曜日

仮面ライダー





お手洗いに、仮面ライダーの目覚まし時計が置いてあります。
八郷に来て、仮住まいをはじめた頃、まだ十分には時計を持ってきていなかったので、生協のカタログの中に見つけて、ついつい買ってしまったものです。

3月11日の地震のあと、電気も水道も止まりました。
使えなくなったお手洗いは、数日間覗くこともありませんでしたが、他の部屋をあらかた片づけた後、やっと扉を開けてみました。
すると、棚に飾ってあった招き猫などとともに、仮面ライダーの目覚まし時計も床に転げ落ちていました。
目覚まし時計は電池が抜けて、針は2時50分という、地震の時間(落ちた時間)を示していました。

原発事故で、一時避難をした朝、この目覚まし時計を4時にセットして寝ました。
前夜、準備で12時を過ぎて寝たというのに、夫も私も目を覚ましたのは、起床予定時刻に一時間も早い3時でした。もう眠れないからとそのまま支度をして、4時ちょっと前には家を出ました。

目覚まし時計を消し忘れたのに気がついたのは、三、四日経ってからでした。
もしかして鳴り続けているかしら、と気になりましたが、夫は、「電池が切れたら、鳴りやむさ」と、気にしません。そのうち、すっかり忘れてしまいました。

家に帰って、旅の片づけなどしていると、なにやら聞こえてきました。
誰?
寝室に行ってみると、仮面ライダーの目覚まし時計が、大きな声で騒いでいました。

初代仮面ライダー役の藤岡弘さんが、
「♪起きろ♪ライダージャンプ。ライダーキック♪目が覚めたか?♪」
と繰り返しています。ちょうど4時でした。
一週間の留守のあいだ、毎日二回、4時になるたびに鳴り、しばらくすると、鳴り止んでいたようでした。

止めるボタンを押すと、
「今日も、熱いきみでいよう」
と言って、止まりました。

ところで、断水中のお手洗いはどうしていたかって?
一階にあるお手洗いは、貯水タンクがついていないタイプなので、タンクのついた二階のお手洗いに、お風呂に残っていた水を運んで使っていました。
キノコ博士のようには、なかなかいかないものです。




仮面ライダーを見ると、幼かった息子が放映の時間に興奮して、はじまる前に何度もお手洗いに走り、CMの時にまでお手洗いに行っていたことを、懐かしく思い出します。

また、当時デパートでときおり催されていた、スペイン物産展やメキシコ物産展など、海外物産展を新聞広告で知り、行ってみると、必ずと言っていいほど、死神博士役の天本英世さんをお見かけしたことも、思い出されます。
彼は、民族色豊かな鮮やかな色のマントを羽織り、民族色豊かなバッグを肩から掛けた、とてもおしゃれな方でした。


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