2011年4月29日金曜日

山姥




何度か、「聖母マリアですか?」とたずねられたことがあります。
いいえ、れっきとした日本の土人形の、山姥です。




山姥は、日本の妖怪です。子どもをさらって食べたり、美しい女性の姿で旅人をもてなし、寝入ったら食べたりする、恐ろしい存在です。
日本各地に、いろいろな山姥伝説がありますが、自分の子を失った悲しみから、子どもをさらって食べるようになったという話もあります。
この、『たべられたやまんば』(復刻版フレーベル館、松谷みよ子文、瀬川康男絵)では、こんぞ(小僧)を食べようとしたやまんばが、おしょうにおだてられて納豆に化け、逆に食べられてしまいます。




そんなおどろおどろしい山姥に比べると、この鹿児島県の帖佐人形の山姥は、慈愛に満ちています。その昔、鹿児島市内の骨董屋で見つけました。
妊娠祈願・子育て祈願の人形、あるいは子の成長を願う、お雛さまの飾り物だったのでしょうか。

400年もの歴史を持つ帖佐人形は、太平洋戦争のさなかに途絶えました。私が鹿児島に行った頃には、すでに廃絶してから長い年月が経っていました。
その後しばらくして、型を小さくして、復活されたようです。

山姥の土人形はしかし、ガーナに行ったとき、船で送る長持ちに入れて、粉々に割ってしまいました。残念でしたが、時間がたっぷりあったので、手間をかけ、しっかりと継ぎ直しました。
今だったら、日本でだったら、きっと修復はあきらめていたことでしょう。




写真を撮っていると、いつも邪魔が入ります。




その邪魔は、私がコンピュータに向かっていると、いつのまにかデスクに置いた籠の中に収まっています。



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