2012年9月26日水曜日

ロシア民謡が聞こえてきます


骨董市でときおり、ソ連時代につくられたセミョーノフのマトリョーシカを見かけます。
日当たりのよい茶の間に置かれ、毎日夜遅くまで煌々と電気をつけっぱなしの日本の住宅事情が反映してか、どのマトリョーシカも色褪せたり、傷んだりしています。
とくに一番大きいものは、表情さえわからないほど退色したものがほとんどです。

マトリョーシカと並べて語られることの多いこけしに関しては、まっさらなものより、木が飴色に染まったものの方が美しいと思うのですが、何故かマトリョーシカは、退色していないものの方が好きな私です。

ところで、ロシアで年を経たマトリョーシカの中には、驚くほど美しいままで保たれているものがあります。 セミョーノフのマトリョーシカが欲しいと思ったら、ロシアの人か、ロシアによく行く人のお店を探すのが一番です。


そんな、保存状態の良いセミョーノフのマトリョーシカです。
一番大きいものも色あせず、美しいままです。


1955年製。
スターリンが死んだ、次の次の年につくられた、57年も前のものです。


定番の赤い衣装に黄色いプラトーク、後ろ姿も渦巻模様が素敵です。


その昔、街には、ロシア民謡の歌声喫茶がたくさんありました。誰でもロシア民謡の一つや二つ、三つや四つ歌えました。
駿河台下にあったロシア料理店「バラライカ」は、時おり夫の両親にご馳走してもらった、懐かしい場所です。

ロシアは物理的にも、情報的にも、精神的にも今よりずっと遠かったのに、なんだか近かったような、今思えば不思議な時代でした。
 



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