2013年1月8日火曜日

嵯峨人形

昔々その昔、京都嵯峨野の落柿舎の近くに、井浦人形店という、嵯峨人形をつくって売っているお店がありました。
と、ネットで調べてみたら、今もありました!うそぉ!

町屋がほとんど二階建てで、冬はご飯が冷めないように、おひつを藁で編んだ籠に入れていた時代から、経済成長期を経て半世紀近く、京都の町は劇的に変貌して、瓦屋根の家を見つけるのが難しくなりました。
そんななかで、今も変わらないたたずまいで人形店があるなんて、ちょっと奇跡のようです。

どうして、おひつ入れかって?
実は、郷土玩具について開眼させてくれたさっちゃんとやすこさんと一緒に京都の安宿に泊まった朝、道端に藁で編んだおひつ入れが捨ててあって、拾おうかどうしようか、ずいぶん迷ったことがあったからです。
当時は宅配便屋さんもありませんでしたし、すでに手いっぱい荷物があったので、泣く泣く藁の籠は拾いませんでしたが。


その井浦人形店の鶯です。
京都の人形は、伏見人形を除いては土くさくなく、垢ぬけていますが、嵯峨人形はとりわけ繊細です。
 

鶯の足のかわいさが、嵯峨人形のこまやかさをよく表しています。


学生時代には、ことあるごとに京都に行っていました。一泊250円などという宿に泊まり、朝食のご飯の余りを塩むすびにしてお昼に食べるような貧乏旅行でしたが、楽しい限りでした。
さっちゃんたちと行き、他の友人とも行き、まだ存命だった倉敷の祖母を訪ねる行き帰りに寄り、極めつきは学校の研修旅行で、一ヶ月も京都奈良に滞在したことでした。

嵯峨野に行く機会があれば、必ず寄ってみた井浦人形店。
ふくら雀のつがいも大好きで、祖母や叔母へのお土産にしたこともありました。
 

そして牛。
このちょっと横目を使っている感じがなんとも言えません。


もう、長いこと嵯峨野に行っていません。
もし行く機会があったら、また井浦人形店に寄ってみたいです。
郷土玩具は、世代交代するとおかしいほど作風が変わることが多いのですが、嵯峨野にはまだ同じ人形たちがいるでしょうか?


ところでこの鳩、嵯峨人形だと思っていたのに、裏に鶴岡八幡宮と印が押してあります。
実は、鎌倉の鶴岡八幡宮の授与鳩は、井浦人形店でつくられているものでした。

4 件のコメント:

hatto さんのコメント...

懐かしいです!私も18,19才の頃ここら周辺を友人と歩きました。落柿舎もなつかしい。
人形店も入りました、あと竹細工の店もあったと思います。食事処にあったお手洗いに「せせらぎ」という札が掛けてあり、乙女ちっくに「素敵」と思った記憶があります(笑)。鶴岡八幡宮の鳩もここの製品だったとは!
一昨年12月は、東寺の仕舞弘法に息子と出掛けたのですが、去年は断念しました。いつかまた嵯峨野も再訪したいです。

さんのコメント...

hattoさん
それにしても京都は変わりましたね。古い町屋に住んでいる友人がいて、たまたま昔から住んでいただけなのに、相続税が大変で建て替えて高いビルにしないと住み続けられないと言っていました。汽車が東山のトンネルを抜けると、東寺の塔が見えて、「ああ、京都だ」とわくわくしたのに、今京都駅からは何も見えません。
誰がどう得をしたのでしょうね。
そんな中で、人形店が残ってすごい!ほっとします。

hatto さんのコメント...

税の事がよくわからないのですが、古い町屋と一般住宅では税率が違うのですか?

京都駅は本当にゴミゴミした風景で、美しくないですね、、、。

さんのコメント...

hattoさん
言葉が足りませんでした。地価によって税が高くて一般家庭では払えない。家を売るより高層にして、大部分を他人に貸し、とくに一階などは商業をしてなんとか税を払うという方法をみんながとって来たようです。
昔の京都は美しかったです。