2014年5月17日土曜日

美人娘自慢

セミョーノフのマトリョーシカは、ソヴィエト時代には国営工場でつくられ、たくさん輸出されて、国の経済を支え、轆轤技術を今につないできました。
一つの工場で、最盛期には月に一万個もつくられたそうですが、一万個と言うのは、一万セットのことでしょうか?たぶんそうなのでしょう。

セミョーノフのマトリョーシカは、どれもみんな同じ顔と言われています。
事実、今でもセミョーノフに限らず、制作過程の写真などで、そっくりなマトリョーシカが山のように並んでいるのを見ることがあります。

ところが、実物ではなく本やネットでではありますが、古いマトリョーシカを見ると、不思議にどれも違う雰囲気で、違う表情をしています。もっとも私の目にする数などたかが知れていますから、たくさん見ると、同じ時期に同じ工場でつくられた、同じ表情のマトリョーシカが、きっといるのでしょう。
あるいは、嫁ぎ先でそれぞれに表情を育てているのかもしれません。


前置きが長くなりました。
この娘がとっても美人だと思うのは、私の身びいきでしょうか?


以前アップしたセミョーノフのマトリョーシカと比べてみましたが、どうでしょう?
やっぱり美人に見えます。


渦巻き模様の布版は、力強く押されています。


一番目の娘には描かれていませんが、二番目の娘の袖の後ろ側には、かわいい三つ丸紋が描かれています。


緑が褪色して、ほとんど消えていますが、それがまた、しっとりと落ち着いた感じを出しています。


中をのぞくと、今つくられている生地は自動轆轤で挽いているのか滑らかですが、昔のものはノミのあとがくっきりと残っています。


五、六、七番目の娘の花の色が激しく褪色しています。
赤が褪色したならサラファンの色も褪色したはずですが、サラファンの赤は残っているので、別の色だったのでしょうか。ちょっと不思議です。


小さい娘たちまで、みんな美人なので、びっくりしてしまうのは、きっと私だけでしょう。



4 件のコメント:

karat さんのコメント...

おはようございます。
セミョーノフのマトリョーシカは顔が怖い…と感じてました。ささっと描いたようで、左右で目が段違いになっていたり、目がくっつきすぎていたり、残念な感じで…。
でも、このマトリョーシカ達は穏やかな表情で、見ていて落ち着きますね。ずっと見ていたいような…。
最後の子まで全部穏やかな顔ですね。十二個組でずいぶん大きいのでしょうね。

さんのコメント...

karatさん
やっぱり、美人でしょう♪
確かに大きい娘も恐ろしくて、小さい子はもっと恐ろしくて、「何をそんなに怒っているの?」と聞きたくなるようなマトリョーシカもいますよね。もしかしたら、人形つくりに喜びを見いだせない職人さんが、呪いを込めてつくったのかもしれません(笑)。
これの大きさは大きいというか、そう大きくないというか、一番大きい娘が約26cmです。

karat さんのコメント...

大きめですね。
それにしても12個ずらっと並ぶと、みごとで、そのろくろの技術がすごいなと思います。
木地師の人は、絵付けの人に「ちゃんと描いてよ…」って思ってたかもしれないですね。(^^)
私も、失敗してしまったのがいくつもあり…(--;) 悩んでます。

さんのコメント...

karatさん
ロシアには素晴らしい轆轤のオートメーションの機械もあるようですが、これは手で削ってあると思います。何十年経ったのか、きちんとしまって素晴らしい技術です。国営工場でやらされたとはいえ、技術が伝承して、今でもたくさんの人が技術を持っているというのは、本当に素晴らしいことですね。
そうか、karatさんも失敗することがあるんだ。轆轤師だったら、「ちぇっ」と言いたいところでしょうけれど、思い切って捨てたら(笑)さっぱりするでしょうね。なんて、他人ごとだから、簡単に言えます。
そう言えば、あれからヤフオクでkaratさんが持っていた、小さい釣鐘形のマトと同じところでつくられたと思える、普通の形のマトを見つけました。半端ものばかり寄せ集めたオークションで、揃っているのなんかないと思っていたのに、それだけ三つそろっていました。また、いつかUPしますが、あれなんかに比べると、セミョーノフのマトリョーシカは大きいですね。