2014年11月6日木曜日

うさぎのマトリョーシカ

近代には、おもちゃは外貨を稼ぐために輸出されるものとして、とくに途上国や、孤立した国の経済牽引品目として、高い位置を占めてきました。

日本製、香港製、そして中国製などなど、おもちゃ輸出で外貨を稼ぐことによって、経済成長のための足腰を鍛えてきた国もたくさんありました。
マトリョーシカもそんな商品で、ロシア国内向けというより、外貨を稼ぐものとして、100年も前から盛んにつくられてきました。

そのマトリョーシカは、ロシア製だけでなく、東欧諸国製のものがあり、近年ではインド、中国、ヴェトナム製などのものもあります。
また、ロシア産の、白木の轆轤で挽いた生地を輸入し、それに彩色してつくるマトリョーシカとなると、日本やアメリカ、ヨーロッパなど、つくっている国はもっと範囲が広がります。

中国製のマトリョーシカを見ると、ソ連時代のコピーもありますが、イースターのうさぎやクリスマスのサンタクロースを題材にしたマトリョーシカが目立ちます。
たぶん、「まず、マトリョーシカありき」ではなく、つくったものがたまたまマトリョーシカの形をとっているものと思われます。
一方に伝統的に轆轤を挽く技術があって、他方にクリスマスやイースター用のおもちゃの需要があり、技術、マトリョーシカ、それにサンタやうさぎを組み合わせてみた、そんな感じではないでしょうか。


そんな、中国製のうさぎのマトリョーシカです。
お母さんうさぎは帽子をかぶっていますが、帽子の模様もなんとなくうさぎの顔を思わせます。
というわけで、耳はお母さんの耳か、もともと帽子についていた耳か、よくわかりません。


ロシアのマトリョーシカは、身と蓋には、乾燥方法が違う別の木を使ってつくります。
それほど、轆轤技術の完成度が高いのですが、中国のマトリョーシカはどうでしょう?

開けるのに、ロシアのマトリョーシカよりちょっと力が要りますが、パチッと音をたてて、小気味よく閉まります。
また、轆轤で挽くとき、ロシアのマトリョーシカのようなお椀型ではなく、壺型で口がすぼまっている形だと、閉めたときの微調整は少なくてすむかもしれませんが、中をくり抜くのは大変です。

ロシア、中国のどちらにも轆轤の技があり、それが同一ではないということでしょう。


お母さん兎の中には、子うさぎが六羽入っています。
この耳のつくり方は、マトリョーシカではわりと見かけるものですが、もしかしたらロシアにはなくて、中国固有のつくり方かもしれません。
ただ、轆轤技術はせっかく褒めたのに、しっかり立たないで、傾いでいるのもあります。


目の位置は、高すぎるのもあります。
日本人が描くのだったら、右のうさぎでさえ目が高すぎると感じるでしょう。そこがお国柄というか、面白いところです。


多産、そして子孫繁栄の祈りを込めたイースターのうさぎ。
このうさぎの一家は、幸せそのものに見えます。



6 件のコメント:

昭ちゃん さんのコメント...

春さんいつも話題の広さと楽しい内容に驚いております。
博学の由来はなんにでも関心と
実体験ですね。
 とくに衰微した里山の様子など仰せの通りで防火線の手入れなど不可能ですね。
 今後ともよろしく。

さんのコメント...

昭ちゃん
よいしょはなしにしてください。昭ちゃんにはかないませんよ。
確かに、里山などや荒れた田畑はどうなるのでしょう?そのうち大規模農場として成り立って行くと言われていますが、商業価値がなかったら?今はお金の世の中ですが、お金だけでは人は満足できません。
世界を見ると、1ヘクタール以下の農地を持っている人の耕地面積の合計は全耕地面積の72.6%、つまり、小規模経営の農家が大半なのです。その人たちが土地を愛し(ここが肝心)、営々と草を抜き、この世界をつくってきたのですね。それを全部税金できれいに保つなんてぞっとします。この時期、道路わきの草刈りを自治体がやっていますが、「道路わきに土地を持つ人が自分でやれ」と、腹が立って仕方がありません。まあ、私の収めている税金なんて、微々たるものですが(笑)。
こちらこそよろしく。

Bluemoon さんのコメント...

掲載をありがとうございます。ここのパソコンの不都合で1枚めと3枚めの写真が見れません。また見れると思いますので楽しみにしておきます。ギフトショップで見たマトリョーシカのような派手な色を想像していましたが違っていました。大きなお母さんと子供たち、良いですね。思い出したのですが。数年前に買ったサンタクロースのアルミホイルで包んだチョコレートは、どう見てもイースターのウサギの型を使用したものとしか思えませんでした。頭が長くて先がふたつに割れた愉快なサンタさんでした。

さんのコメント...

Bluemoonさん
パソコンの調子って、いつも同じじゃないですね。見えない写真は、お母さんだけと子うさぎだけの写真です。
イースターうさぎの型でつくったチョコレートにサンタクロースのプリントをかぶせるって、面白そうですね(笑)。しばらくは、「サンタクロースの型がなかったから」とごまかせるかもしれませんが、何年もは続けられないでしょうね。
クリスマス飾りは小さいころから親しんでいますが、イースターなんて知りませんでした。でも、装飾した卵といい、うさぎといい、可愛いものばかりです。それに比べると、ハローウィンは無視です(笑)。アメリカ発祥だからかな?その昔アメリカに住んでいた頃は、一応知らない子どもも来るので、お菓子など用意していましたが、あの仮装も好きじゃありません。

Bluemoon さんのコメント...

見れましたよ~。並んだ子ウサギちゃん、かわいい。目元に愛嬌があっていいですよね。可笑しなサンタクロースはその年だけでした。写真残してあります。私もハローウィンはどうも。ここに暮らした当初はハローウィンらしいものがなくてやっぱりアメリカ文化なんだとホッとしましたが今は違います。年々派出になってきています。イースターはかわいいですよね。ウサギは農作物を食べる害動物ということで飼うと高額罰金です。ある年に、イースターのウサギをオーストラリア原種のビルビーに変えたほうがいいと運動を起こしたグループがありましたが・・・。やっぱり人気ものはウサギとヒヨコです。

さんのコメント...

Bluemoonさん
昨夜からブログのプロバイダーが機能しなくなり、今朝もだめ、コメントが遅れました。今外から帰ってきたら、やっと通じるようになっていました。自分で書いているつもりでも、プロバイダーが動かないと何もできないことを痛感しました。

ある意味で害獣である猿、イノシシ、鹿、ネズミ、クマ、オオカミなどもいろいろなところで親しまれて、人形にもなっているし、まあ、うさぎを飼ってはいけないまではわかるとして、イースターのキャラクターを変えてしまおうというのは、ちょっと行き過ぎな感じがしますね。地球にはいろいろな生物がいて、共存してきたわけですから、人間のつくるものを食べるからといって一概に害獣と決めつけるのはどうかと思います。
もっとも家では昨日、あまりにも傍若無人なイノシシに腹を立てて、南、西、北と紐を張り巡らしました。すると昨夜は正面玄関である東からやって来て、敷いた丸石をひっくり返していました。やっぱり腹が立ちます(笑)。