2015年6月1日月曜日

火入れ


私の集めたものを見て、
「これが好き」
と、名指しで言ってもらうと、嬉しくなります。
先日いらした方に気に入ってもらえたのは、猫の火入れでした。

昔の人は、よくキセルを使いました。そのため、火種はいつも近くに置いておきたい。火入れに灰を入れ、炭を乗せて手元に置きました。
火入れは、寒い時期には手あぶりにもなりました。


その方には、この人間顔も気に入っていただけたし、


顔の下の、右手だか左手だかわからない突起も、気に入って、撫でていただいていました。

とても重い、安定感のあるものなので、高いところに置いていましたが、大地震を無事くぐり抜けました。
 

それにしても、この遊び心のある火入れはいつ頃、どこでつくられたのでしょう?火入れとして使われていた形跡は、穴の内側に残っています。

小さい頃、私は岡山県の倉敷で育ちました。
祖父母の家では、座敷まで上がった客人にお出しする煙草盆はありましたが、独立した火入れというものは見たことがありませんでした。
玄関の上がりがまちに腰かけて世間話をする客人が煙草を吸うときは、真夏を除いて火を絶やさなかった火鉢に、キセルの人は屈みこんで顔を近づけ、紙巻き煙草の人は火箸で炭をつまんで火をつけていました。

父の妹(私の叔母)が嫁いだ家に行くと、家つき娘のおばあさんと、やはり家つき娘のひいおばあさんが、日がな一日、煙草盆のそばに座ってキセルをくゆらしていました。
入り婿のおじいさんと、入り婿のひいおじいさんは、忙しく立ち働いていましたが、そこにはなんだかのんびりとした、私の家にはない時間が流れていました。

それにしても、猫の火入れを横に、キセルを吸っていた人はどんな人だったのでしょう?
そんな、この猫の歴史も含めて、気に入っていただけたのかもしれません。


瓦猫の火入れと、いまどきさんの火入れとのツーショットです。
東京の今戸では、古くは瓦のものも焼かれていたようなので、今戸焼の可能性もあるでしょうか?





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