2016年5月21日土曜日

掘り出し物

刈り払い機で草を刈っていたら、刃が堅いものに当たったような、嫌な音と衝撃がありました。
音のしたあたりを手で探ってみると、出てきたのは、十二、三年前になくした剪定ばさみでした。


当時、そのあたりで畑をつくっていました。
その日は剪定ばさみを使う作業もしていたのですが、途中で、見えなくなってしまいました。
畑の、畝と畝の間の小路にしゃがみこんでいただけですから、剪定ばさみを置いたとしたら、その小路しかありません。狭い畑で、小路も二、三本でしたから、探しはじめたときには、すぐに見つかると思われました。ところが、何度探しても、見つかりません。
土に潜ったのかと、靴で蹴ったり、薄く掘り返してみたりもしました。また、雨が降ったら顔を出すかしらと思って、日を改めて、何度か見返したりしましたが、神隠しにあったとしか思えない剪定ばさみは、とうとう見つかりませんでした。
それが、時を経て、突然現れたのです。

二十年ほど前に、刃物専門店で見つけた、手づくり打ち出しの剪定ばさみは、切れ味の優れた、私の宝物でした。
仕事で、カンボジアに住んだ時も持って行ったし、インドネシアやパレスチナにも持って行って使った、思い出深いものでした。


鎌や剪定ばさみ、生木を切る鋸など山仕事の道具は、夢中で作業しているときに、無意識に置くと、そのあたりの色に溶け込んで、すぐに見失います。
そのため、目立ちやすい色が塗ってあったり、ビニールのカバーがしてあったりと、工夫がこらされています。
ところが、赤だから目立つはず、今置いたばかりだからそこいらにあるはずと思っても、見つかり難かったり、最悪、見つからなかったりすることもあります。
今は、道具をまとめて籠に入れて持ち歩くのでめったになくしませんが、それでもときおり、無意識に地面に置いて、後でさがしまわることもあります。


刈り払い機の刃が、ちょうど剪定ばさみの刃に当たって、大きく欠けてしまっていますが、これでわかるように、鉄は地中でぼろぼろになっていました。

さて、それから数日後、草を刈っていたら、また何かにぶつかりました。
「何だろう?」


あれあれ、冬から探していたハンマーでした。

「ねぇ、小さいハンマーはどこにある?」
「さぁ」
「最後に、ハンマー使って何をやっていたか、思い出してよ」
「と言われてもなぁ」
という会話を夫としたのは、三ヶ月以上前のことでした。

ハンマーが落ちていたところから推察すると、200ボルトの電線を仮に支えておく杭を立てたとき使って、そのまま置き忘れたようでした。
こちらは、たったの数ヶ月でしたから、柄を替えるまでもなく、もちろんこのまま使えます。









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