2017年5月6日土曜日

古い写真


夫の本を片づけていたら、箱に入った写真が出てきました。


くるくると巻いて入っているのを伸ばしてみると、あぁぁ、湿気でかびたのか、色は薄くなっているし、まだらになっています。


でも、大丈夫。
もう一枚同じ写真で、いただいてすぐに額装したのがあります。

この写真は、とても珍しい撮り方をしています。
1981年の北京、写真屋さんは、三脚にカメラを据えて、レンズの向きを移動させながら、五、六回シャッターを切りました。
いったいどんな写真ができるのだろうと思っていたら、しばらくして送られてきた写真は、何度もシャッターを切ったのにつながって、一枚の写真になっていました。
 
当時は、まだ中国に行ける機会は限られていました。
そのため、普段は夫の出張についてなど行かないのに、もの珍しい気分でバンコクから同行したリー夫人と私は、夫たちが会議をしている間、連日観光の嵐に巻き込まれていました。
万里の長城、十三陵、故宮博物館などは、夫たちも一緒に行きましたが、夫たちが仕事の時も、朝になると、宿舎に案内してくれる人たちがやってきて、私たち二人を、博物館やら、民族服装博物館などに案内してくれます。
ある朝行ったのは、毛沢東記念館でした。
ある地点で、人の列に押し込まれ、
「さあ、前の人の通りに、立ち止まらないで歩いてください」
と言われて歩いていくと、放射状に四方から歩いてきた人と一緒になり、確か八列くらいになって建物に入り、毛主席の冷凍遺体のそばを通り抜けました。
「明日は、どこか行きたいところがありますか?」
と、必ず聞いてくれるのに、
「古い家並みが見たいです」
「一般家庭を訪ねたいです」
などという、こちらの希望は、もちろんかなえられたことがありませんでした。

ある朝、私は熱を出して、リー夫人もそれならと、休みました。
病院で診ていただき、熱はその日のうちに下がったのですが、次の朝に迎えがきたとき、まだ調子が悪いからと観光を断りました。
そして、監視人(?)の目を盗んで一日、北京語のできる中華系マレーシア人のリー夫人と、方向感覚があって地図も読める私の「強力コンビ」の二人で、地図を見ながらバスを乗り継いで、だだっぴろい北京の街を、自由に歩き回ったのでした。
お昼を食べるのに、満員の食堂で、食べている人の椅子の後ろに一時間近く立ち続け、食べた人が立ち上がるや否やバッグを置いて、やっと食べ物にありつけたのも、懐かしい思い出です。
おかげで、食堂には、飲み物といえば自家製のビールしかないことや、食堂が慢性的に足りないので、パンを一斤買って、道端で食べている人が多いことなど、素顔の北京を見ることができました。






8 件のコメント:

hiyoco さんのコメント...

マニュアルのパノラマ写真、すごいですね!
リー夫人も春さんと同じ好奇心旺盛な方だったんですね~。そうじゃないと同行しないか(笑)。バスの移動って地元民になった気分で楽しいですよね。
私が上海に旅行で行ったのは93年頃ですが、店員さんのやる気なさとかまだまだ社会主義っぽい感じが残っていて面白かったです。

さんのコメント...

hiyocoさん
リー夫人は、けっこう引いていましたよ(笑)。言葉ができるのにね。
北京の前に上海にも行ったんですよ。中国人とは別のお金を持たされて、買い物できるのは友誼商店だけで、店員さんたち、なかなか対応してくれなかったです(笑)。
それで思い出したけれど、友誼商店には日本人の観光客もいたから、団体旅行は受け入れ始めたときだったのでしょう。日本人は短時間にわっときて、みんなで墨を買って、わっと帰っていました(笑)。
みんな人民服と白シャツだけ、高層ビルなんてなかったから、隔世の感がありますね。

昭ちゃん さんのコメント...

この時代は日〇〇が盛んに社会主義国の教育研修とかで
あちらに渡っていますね、
帰ってから報告らしい物も聞いていませんが、
私に一言「冷えたビールが飲みたかった」っと。(笑い)


さんのコメント...

昭ちゃん
そうなんだ。まぁ、全編観光旅行だったんじゃないですか(笑)。
私は、朝、民家の玄関先に出して干している木彫りで漆塗りのおまるを見たり、屋根にクンシランのような花の飾りものを乗せているのを見たり、お墓がどこにあるのか聞いたり、農村では土のかまどを見たり、上海は大満足の旅でした。
一週間も一緒にいて仲良くなった通訳の人たちと一緒に、夜来香や北国の春も歌いました(^^♪

あかずきん さんのコメント...

古い時代の写真は興味深いです^^
主人の祖父の遺品整理していたら医学生だった頃の卒業アルバム
が出て来て興味深かったです、今では考えられない様な?豪華な本?
一枚一枚が丁寧な作りで明治時代の京都の街並みや講義風景、驚きました
記念写真ってあまり好きではなかったのですが、出来事の記録って
大切だな~と考え直しました、笑

さんのコメント...

あかずきんさん
あれ?古いっていうか、私の写真ですから、そう古くないですよ。と言っても、やっぱり古いか(笑)。
そうですね。確かに、記念写真なんてと撮られるときは思いますが、後で見たら面白いですね。私も祖父母や父母の写真見るのが好きです。母が、処分してといってよこしたアルバムも取ってあります。
画家さんの自画像なんかも、近代では「ふん、写実的に描けるか!」という感じで、ピカソみたいな自画像描いている人が多くいます。でも、その時代にはそれがかっこよくても、100年とか200年たったら、やっぱり写実の自画像の方が数段面白いですよね。

あかずきん さんのコメント...

あ~!!ごめんなさい。
古くないです!!
日本語の使い方を。。。間違ってしまいました~

さんのコメント...

あかずきんさん
気を使わせてごめんなさいね。ふざけたんですよ(^^♪やっぱい古いです(笑)。服装も古めかしいしね。

写真は、デジカメができてからとその前とで、全然違ってしまいましたね。光に当ててもないのに、カラープリントの写真も、デジカメで撮りなおそうとすると、結構退色してしまっています。プリントより長期保存できるはずのスライドも、古いものはかびたり変色したりしています。
100年後の人たちが見る、今の写真はどうなっているんでしょうね。まったく古びていないのかな?もっとも、カラープリントなどもあっさり修正もできるようですね。