2017年8月31日木曜日

太鼓持ち猫


太鼓を持った猫です。
どこの猫か、自分で調べず、さる場所に写真を送って訊いていたのですが、なしのつぶてでした。ネット検索の時代、
「不精しないで自分で調べろ」
ということだったのでしょう。
遅ればせながら調べてみました。といっても、持っている本には載っていないので、ネットで検索です。


一つだけそっくりな形のものが出てきました。
ヤフーオークションで落札されたものです。
底の写真があり、貼ったラベルが「今町」と読めます。
「今町?聞いたことないけど?」
と思いながら調べたら、出てきました。


新潟県見附市今町で、明治初期から昭和二十年頃まで、土人形がつくられていたのでした。
今町土人形は、どれも20センチ未満の小さめの人形で、中には数センチの、ごく小さいものもあったそうです。
身元が知れて、ほっとしました。

今町土人形。「東京民藝協会便り」より

近くの三条にも土人形がありましたが、どちらも戦前に廃絶し、今となっては、あまり調べるすべもないようです。
今町土人形は、ほかの地域の土人形同様、お雛祭りなど、節句に飾る人形として、農家が副業につくったものだったのかもしれません。
となると、出産祝いに贈るんだったら、犬の可能性大ですが、猫と言うことにしておきましょう。
 

さて、まことさんの店に、今町の猫と並んでいた招き猫です。
まことさんは、
「これは愛知のあたりじゃない?」
と言っていたけれど、どうでしょう。
瀬戸、常滑のあたりにも見えます。


青い目の招き猫は、底に空いた穴から見ると、土をドロドロにして流し込んでつくったように見えます。黒い模様は、色を塗らないで、吹きつけてあります。
それにしては、型の合わせ目には明らかに手で削った後があって、手作り感もあります。
郷土玩具とは言えないけれど、量産品とも言えない、家内工業的な猫です。









2017年8月30日水曜日

もうできました!

「九月末ごろまで、時間をもらってもいいかな?出来上がったら電話します」
と言われて、そのつもりでいたかんなの研ぎが、もうできたと電話あり、受け取りに行ってきました。


「中屋平治」の鍛冶場兼店舗は、水戸の、どちらかと言えばはずれと思われる場所にあります。
ところが聞いてみないとわからないもの、江戸時代はそのあたりが、町人たちの中心街だったのだそうです。
古地図も見せていただきました。


かんなの刃は曇りが取れ、台が平らに仕上がっていました。


かんなの台を削るかんなを見せていただきました。
もちろん、平治さんがつくられたもの、刃が、ほぼ直角に立っています。


また、平治さんの手の向こうに見えているのは、自動がんなの刃ですが、これもまっすぐなので、両手に持って立てるようにして、かんなの台を削るのに使うそうです。
我が家の万能木工機の刃と同じ形ですが、もともと中古で買ったので、最初に見たときから、錆び錆びの、さーびさび。こんなにぴっかぴかの刃は、初めて見ました。
自動がんなの刃は、油紙に包まれて、大切にしまわれていました。

平治さんは、かんなづくりを、名工と名高かった碓氷健吾さんに学ばれました。また、かんなの手入れは、阿保昭則さんに学ばれたそうです。
すべて独学で技術を高められた阿保さんは、「削ろう会」 を主催するなど、たくさんの若い職人さんを育てる運動をやっていらっしゃいます。


中屋平治さん+阿保昭則さんのかんな復活です。
これまで、使いもせず家宝にしていましたが、ちょっと使ってみようかなぁという気分も出てきました。
もとは、寄せつけない美しさを持っていたのですが、台座を削られて色がまだらになったことなどから、ちょっと親しみやすさが出てきた感じがします。


砥石もいただきました。
これまで、我が家にはセラミックの砥石しかありませんでした。ところが、仕上げ砥だけでも自然石の方がいいとのこと、一番安い自然石の仕上げ砥を買い、これで仕上げていただきました。
その仕上げ砥は、砥石を切り出した後の残りの石を、もったいないからと砥石にしたものなので、厚みがほかの砥石に比べると半分以下と薄いので、安いのです。
まぁ、どう考えても、これが紙のように薄くなるまで、我が家で使い込まれることはなさそうです。

奥の、包んであるのは、ダイアモンド砥石です。
ダイアモンド砥石は大工のNさんが持っていたので知ったもの、荒砥として刃が欠けたノミを研いだりするだけでなく、砥石の面直しに使えます。

じつは、かんなを受け取るときに、切り出しを売っていただくつもりでした。
でも、切り出しはそう頻繁に使うものではないし、
「分不相応だろうか?」
と何日か悩んだ末、絶対使うに決まっている、刈り込みばさみを買うことに変更しました。


小さめの切り出しのお値段は、明治のころの古い鋼ではなく、新しい鋼を使ったものでさえ、刈り込みばさみ二本分以上します。
でも、欲しかったなぁ。
切り出しで、糸巻きとか赤ちゃんのしゃぶり棒だとか、匙だとか、つくってみたいのです。


この刈り込みばさみは、素人用です。
ところが、植木屋さん用の刈り込みばさみを開いてみたら面白かった!
刃が、閉じた形でピタッと止まらず、普通に動かすと、すれ違って、行き過ぎて、Vの字型になります。興味津々でしたが、
「これは職人さん用、普通の人には使いこなせませんよ」
と言われました。

法被を着て、三角形の木のはしごを使って、刃がピタッととかみ合って止まるようにできていない刈り込みばさみを使っている職人さん、今もいるのかなぁ。
この辺りの植木屋さんは、生け垣は電動のトリマーで刈った後、掌に入る剪定ばさみで整えていて、刈り込みばさみを使っているのは、あまり見たことがありませんが、私が知らないだけなのかもしれません。






2017年8月29日火曜日

縮みます


恵比寿さまを取りつけるため、瓦屋さんの持ってきたはしごを見てびっくりしました。


伸縮式になっていて、仕舞ったり、車に乗せたりするとき、小さくすることができます。そして、欲しい高さだけに伸ばして使うことができます。
調べてみたら、普通は伸ばして3メートルくらい、電信柱用のは5メートル以上にもなるようです。そして、長いものは、値段も張ります。

我が家には長いはしごが二つもあります。一応伸縮式、といっても、縮めると全長の三分の一の長さになるだけです。それでも便利だと思っていました。
高いコンクリート柱をつくっているときは、長いはしごは必需品でした。とても重宝しましたが、今は仕舞いようがなくて、野ざらしです。


この伸縮式のはしご、足のところも、置くところが傾斜していても対応できるよう、動きます。


縮めると、この小ささです!
すごいなぁ!
もう、我が家には必要ありませんが。








2017年8月28日月曜日

小舟に乗った恵比寿さま


注文していた台座が届いたからと、瓦屋さんが恵比寿さまを取りつけに来てくれました。
 

台座は既製品です。
通常は方形の屋根に乗せて、鬼瓦など乗せるのに使うそうです。
 

瓦の突起に合わせて、瓦屋さんは台座を、グラインダーできれいに削ります。
 

ほぼ、形ができてきました。
丸い刃が回る、私だったら直線にしか切れないグラインダーで、細かい曲線をきれいに出していく、まさに「職人技」です。


完成しました。
下から見上げるので、台座もちょっと前かがみにしてあります。


恵比寿さまを乗せました。


「竿はありますか?」
と、瓦屋さん。
「あるんだけど、孔が浅すぎて、安定しないんです」
「孔を深くしましょうか?」
「わぁ、お願いします」


孔を深くしていただいたので、竿を持つことができました。
竿は台風並みの強風には飛ばされるかもしれませんが、そしたらまた、竹ぼうきの竹を、一本切って使えばいいのです。


さて、夕方、恵比寿さまに夕日が当たっています。
北側ですが、これから冬にかけて、夕方に晴れてさえいれば陽が当たります。


夫は、恵比寿さまがまるで、小舟に乗って瓦の波に漕ぎだし、波間で釣りをしているようだと言います。





2017年8月27日日曜日

納涼会


こんこんギャラリーの裏庭で、地域通貨「さとのわ」の納涼集会がありました。
物々交換会や、「きこりの森」探索の後は、バーベキューです。


九月にはお父さんになるIくん、大忙し。
みんなの畑で取れた美味しい野菜を、二つの鉄板でほど良く焼いてくれました。


とくにジャガイモがおいしかった!
今年は気候の加減で、ジャガイモがことのほかおいしくできたのだそうです。
 

6週間前に生まれたばかりのゆきちゃん。
ゆきちゃんは「ゆきと」、幸せな人と書くんですって!いい名前です。


ベビーカー初体験のゆきちゃん、
「なかなか、いいなぁ」
とご機嫌です。
いままで末っ子だったしんちゃんも、すっかりよいお兄ちゃんになっています。


みんなが持ち寄った食べものを紹介しています。
手前のペットボトルの中は、Iくん特製のバーベキュー用「Iダレ」でした。


焼きそばも。


私は、マイ・プレートをデビューさせました。






2017年8月25日金曜日

手づくりの鏝

作業棟のしっくい壁を塗ってみて、左官仕事がたいへんなのが、骨身にしみてわかっていました。
足場がなくては塗れない東西の壁は、足場撤去までになんとか仕上げまでしましたが、下屋の屋根の上で作業できる南北の壁は、相変わらず下地のまま、早、一年半以上経ってしまいました。

当初、左官仕事が大変そうなのを見て、夫は、
「室中は左官屋さんを頼むよ」
と言ってくれたので、ほっとしていました。室内にはしっくい壁が外よりたくさんあるのです。
ところが時間が経って、冷静に考えると、左官屋さんを頼むのは、経済的に無理でした。やっぱり自分で塗るしかありません。場所によっては無理な姿勢を強いられるので、両膝を人工関節にした夫はできません。

なかなかその気になれないでいたのですが、よい鏝を買ってみることにしました。
これまでは、コンクリート仕上げに使った、ワンコインで二本も買えるような鏝、しかも手入れが悪くてコンクリートがこびりつき、錆びついたものを、表面だけやすりをかけて使ったりしていましたが、鏝を変えればやる気が出るかと考えたのです。

「弘法筆を選ばず」とは、よい道具がないとよい仕事ができないと道具ばかり求めたり、うまくできないのを道具のせいにしたりすることを戒めることわざですが、あの鏝では、もうできないという気持ちが広がっていました。

さて、お盆明けに、鍛冶屋の中屋平治さんを訪問することにしていました。
平治さんが打った鋼を使って、阿保昭則さんがつくったかんなを持っていますが、恐れ多くてとても触れない。長年使ってなくて、刃に曇りが出ているので、平治さんに研いでいただくことにしたのです。そのとき、平治さんのお店でよい鏝を買おうと楽しみにしていたのですが、売っていませんでした。

「中屋」は、その昔、鋸をつくったり目立てをしたりしていた鋸屋の屋号です。
普通の「中屋商店」は、鋸刃が使い捨て時代になった今は、工具類一般を商っています。
ところが、日本一の鍛冶屋と言われている平治さんのお店には、刃物とその手入れに必要なものだけ売っていて、見事に電動工具が一切ありませんでした。
そして、鏝も売っていませんでした。


仕方ない、ネットで買いました。
大小欲しかったのですが、まず、柳葉鏝を買ってみました。


刃は、真ん中が高く、両端が薄くできていて、わずかにしなります。


よい鏝を使っても、右利きの私には右端を塗るのは難しいし、大きな面をこの小さな鏝(10.5センチ)で塗るのは、非効率的な気もしますが、やってみないで大きい鏝を買う勇気はありません。

かんなや平治さんのお店については、秋に受け取りに行くので、その時書きたいと思っています。
「刃はただまっすぐ研げばいいのだから簡単、かんなは台だよ。台は木でできているので、毎日直しても、毎日歪むからね」
とは平治さんのお言葉。
お店には五寸幅の刃を使ったかんなが置いてありましたが、阿保さんに頼まれてつくったという、一尺幅のかんなの写真を見せていただきました。削りかすが、まるで紗の反物のようでした。
平治さんは、今でも鋸もつくっていらっしゃいます。
「うぅぅん」
ただ、唸るだけでした。



 


2017年8月23日水曜日

バミレケ

アフリカの木彫りの椅子は、どこの地域のものも、とても美しいものです。
脚のあるものないもの、背の高いもの低いもの、儀礼用のもの日々使うもの、どれもそれぞれに素敵です。
木を細くしたり薄くしたりして組んだ椅子は、コートジボワールのバウレの椅子などほんの少し、ほとんどは、木の塊からナイフで彫り出したものです。


カメルーンのバミレケ人の椅子も、丸太を刳り抜いています。


胴が太鼓のように張っているのもあるけれど、すっとまっすぐなこの椅子、さっぱりしています。
 

アフリカの椅子としてはもちろん、バミレケの椅子としてもは、これは背が高い方で、腰をかがめなくても、楽に座ったり立ったりできます。
 

バミレケは、手仕事に秀でた人たちですが、ポチポチが好きなのでしょうか?


ネットでこんな写真を見つけました。バミレケの帽子です。

 
この仮面はポチポチではないけれど、バミレケのビーズワークも面白いです。
 

椅子の内側は大きく刳り抜いてありますが、蜘蛛が棲みついてしまいました。
けっこう、居心地よさそうです。


ちなみにこれは、バミレケの藍染布です。
あこがれの、カメルーン!アフリカ最大の熱帯多雨林でしたが、少しは残っているのかなぁ?
アジアの熱帯多雨林は、ほぼ消滅しました。